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人との関わりが楽しめず、自分の世界にこもりやすい子ども
子どもの性格や行動で、気になっていることはありませんか?よくある相談を元に構成した事例をご紹介しましょう。
〈 お母さんの心配 〉
3歳の男の子。言葉が遅く、こだわりも強く、パニックになると大泣き、目を離した隙に家を飛び出して道路を横切るなど片時も目が離せません。他の子と比べてちょっと違うのではと心配が募っています。
〈 誕生から3歳までのエピソード 〉
赤ちゃんの頃は、寝つきが悪く眠りの浅い子で、目を合せると視線を逸らすような神経質な子でした。その反面、起きている時は、ベッドで機嫌の良い声を出しながら手をかざしたり天井を見ることが好きでした。後追いもしなかったので手のかからない子だったと思います。ただ抱っこすると反り返るのでとっても重く感じました。
誕生日にはヨチヨチ歩きはじめ、子ども番組やビデオが好きで、顔を近づけ正面や斜めから横目で見入ったり、画像の動きやチラつきを見て喜んでいるので、その間に洗濯や掃除などを済ませ、後ろめたさも感じていました。
外出時にバギーに乗ることや、手を繋いで歩くことをイヤがり、公園では他の子どもと遊ばず一人で駆け回り、どんなに身体を動かしても疲れず元気な子でした。近くで小さい子が泣くと両手で耳を塞いだり、その子の頭をピシャと叩くこともありヒヤヒヤします。また散歩の道順を変えると引っくり返って泣いて騒ぎ、要求が叶うとケロッと笑顔で帰ることがお決まりです。
言葉は1歳6か月健診で2、3語の片言を話し、親の言うことも大体分かりました。たくさん話し掛けるように言われましたが、実行していてもその後言葉は増えていません。それでも英文字には、興味を示し「エー(A)、ビー(B)、シー(C)」などをTVのCMや学習教材ですぐに覚え、英文字で書かれている看板の商標を読んだりします。また、人にも何度も言わせるので、いい加減に答えると怒って正しく言うまで求めてきます。そのわりに私も子どもと一緒に遊ぼうとすると手で払いのけ、一人でずっとミニカーを一列に並べたり、車輪の回転を飽きず見たりして遊んでいます。自分の世界に浸っているように見え、お母さんは「この子は私のことがキライなのかな」と思う時もあります。
さて、このような相談に対しどのように考えていけばよいでしょうか。
〈 人との関わりを楽しめない子ども 〉
このお子さんは、親に相手をしてもらったり甘えたりすることが苦手で、あやしても抱っこしても喜んでくれず、むしろ一人気ままにご機嫌で過ごす傾向があります。お母さんはTVやビデオに子守をさせていたことに後ろめたさを感じていますが、育て方に問題があったのではなく、この子自身が生まれながらにして持っているものと思われます。
抱っこされること・目を合わせること・物音や人の声を怖れたりする行動は、触(圧)・音・視覚・味覚などの感覚器官が過敏に反応するためです。身の回りの生活環境は、この子にとって非常に耐え難いものと感じられ、安心できる自分の世界に籠もるような行動をとります。
〈 遊びの中の興味や関心の偏り、こだわり 〉
人と遊びを共有せず「自分の世界」に耽り、人との共感性が乏しい遊びを好んでいます。関心の示し方が、パターン化して繰り返す「こだわり行動」として固執する傾向があります。これらの遊びに没頭すると周りが全く見えなくなり、行動が干渉されたり阻止されると抵抗してパニックとなり大騒ぎになります。
〈 言葉の遅れ 〉
言葉が遅れる場合、まず聴こえなどに問題や障害がないか確認しておく必要があります。このケースの場合、1歳6か月健診では聴こえなどに問題や障害はなく特に言語面の遅れは指摘されていませんが、その後3歳を迎える頃になっても言葉が増えていません。その一方で英文字や商標などへの関心が強く、これらは殆どTVやビデオなどをみて覚えています。こうした興味はコミュニケーション活動に繋がらないものとなっています。
〈 今後の取り組み課題 〉
お母さんは、このお子さんが赤ちゃんの頃から育てにくい扱いにくい子としてご苦労されてきた様子です。また、育て方を振り返り自分を責めたこともあるかもしれません。赤ちゃんの頃は個性と思っていたことが、2歳3歳を迎えることで、他のお子さんの発達と比べて不安を感じているようです。
このような場合、お母さんがお一人で悩まず、今度の3歳児健診や、掛かり付けのお医者さん、あるいは最寄りの保健センターで相談されることをお勧めします。専門家に相談することはハードルが高くためらわれるかもしれませんが、相談すればその子にあった関わり方や今後のことを具体的で適切なアドバイスがいただけると思います。そうすることによってお母さんはもちろん、子どもも混乱することが少なくなり、今よりも穏やかな気持ちで生活できるのではないでしょうか。
今お気づきになられたことを契機に、子どもとの関係を改めて築き、子育てを楽しみませんか。
(臨床心理士)